※共同制作を巡る思考(twitterから引用)

 

 

 

 2014.8.5

 

くたばりそうでくたばらないからもう大人なんだなというかんじがする。いろんなものから解放されて夏に取り残されるのは慣れないな。

 

うまくいってません。だってもう昔のようには必死じゃないし、ほんとうにしんでしまうまでふたりで暇を潰すことだってできそうなものだよ。もう大人だ。

 

ほんとうにこれが最後かもしれないのにそのことをすぐに忘れてしまう。今度なくしたら私はなんて言うんだろう。

 

気力がない。わたしの態度にほとんど行方が掛かっているのに気分が到達しない

 

それでとにかく隣を歩けばどうにかなるんじゃないかと。集まった素材はすごいよ。中身ってなんのことをいうのかわかんないけど中身のない幸福感がすごい。間違ってても信じたらそれが本当になる。許すこと、許し続けることをやめたらすぐになくなる夢のような話だ。

 

許し続けられることも許され続けてることも本当はすごくおかしい。でも結局ずっと先のことを考えるとこうなる。このことはやがて過ぎ去る感情とは別のものだ。

 

ひとりでいるためにふたりでいる。

 

許されないことはずっと許されないままだ。それが許されたところでわたしは幸福にはならない。成すべきことを成すために避けなければならないこと、片付けなければならない願望などがいろいろある。憧れることは許すけど手にすることは禁じている。

 

 

 

 

2014.8.10

 

おとなになったら言えないことだらけになってしまった。

 

ふたりがいるだけでことたりるのならわざわざこんなことをしないでもいいんだ。

 

答えが見えてる。だから言えない。言う必要がない。

 

毎回思考がひとまわりする。

 

思い出したくないことばかり思い出すけど妙にあたたかいからざわざわする。

 

 

 

 

2014.8.24

 

共同制作そのものも過去に留まらないために決めたことだったのかもしれない。ちょうど一年前に、この内容はひとりでも作品化出来るけど、ふたりでやることもできるって考えたんだった。はじめは私の作品としていくつかの要素を扱うことの承諾を求めていただけだった。一緒にやることになって完全に過去の話に出来なくなってしまったから内容も変わってきているし、相手がいるから都合よくまとめたりつくり変えたりすることも難しい。そのなかでどう立ち回れるのかだ。私に課せられていることは。

 

 

 

 

2014.10.11

 

これからの関係性のための儀式

 

 

 

 

2014.10.12

 

ちゃんとここまで頑張れてよかった。最後まで頑張ります。よろしくお願いします。

 

私の能力にすべて掛かってる。これはほんとうに自分に覚悟があるのかを測る最善の方法だったんだ。ちゃんとやり切って自信に繋げたい。

 

これができたらもうこわくなくなるはずなんだ。何があっても

 

自発的にやっていけるってことをね

 

届かなくてもいいので示し続ける

 

やりますよ。私は

 

消えないよ

 

 

 

 

2014.10.16

 

吉野純粋蜂蜜店の特殊な造りを生かしたインスタレーションを展開します。2007年頃のものから現在までのドローイング、オブジェクト、フィールドワークからの引用、対話など。3つの部屋それぞれに、空間ごとのタイトルをつけました。

 

 

 

 

2014.10.18

 

これは二人展ではなく、わたしたちのどちらでもない誰かの個展のつもりです。そのような親密さのなかでの共同制作を心掛けました。

 

第三の人

 

わたしたちはわたしたち自身の言葉でこの出来事を形容することを避けたく思っています。出来るだけ多くのひとに目の当たりにしてほしい。

 

人生の節目

 

 

 

 

2014.10.24

 

この展示がなんだったのかをこの先ずっと考えていくことになる気がする。

 

待つというしごと。お互いをつくりあうとか、欲しがってるものをつくりあうとか、ひとつのものを一緒に触るとか、隣で見たり聞いたり歩いたりとか、そういうことです。

 

 

 

 

2014.10.25

 

ずっと言えなかったことをやっと言えた。

 

生きながらにして喪う存在もある。

 

そうすることの覚悟がずっと出来なかった。

 

これから彼らの中で新しくかたちづくられる存在をわたしは守ります。

 

まにあいますように

 

感覚がひらく瞬間がどこにあるかと問われたときに、彼の存在について考えてみることがあり、それがこのことの実のところのはじまりだったのかもしれない。一年生の秋のことです。

 

世界への反応がこれまでよりもずっといいことを教授が気付いてくれたのがよかった。それをみせられてよかったそれをみせたかったです

 

あたらしいしくみをこれからつくっていきます。その覚悟はこのことに気付いたときからある。ちょっと可愛げのない長さの悪足掻きをしてしまいました。巻き込まれてくれてありがとう。

 

わたしはこのひとのとなりにいるときの世界の見え方が好きです。でもそれは大人になればなるほど簡単には守られなかった。再びそのことに専念するための時間を与えられてなによりも幸せだった。ひとりでいることのくもりをどう拭ったらいいのかがここ数年の悩みのほとんどだったような気がする。

 

 

 

 

2014.10.26

 

(坂下) なんかとんでもないことをしてしまったなぁと、終わってみて改めて感じる。僕自身、2人で何かをやるのはいつかするだろうとはわかっていたけれど、こんなに早くくるとは思っていなかった。

 

(坂下) お互いの中でとても大きな位置づけになるであろうということは、1年前に話を持ちかけられ了承した段階で確信していた。同時期僕は何か変わろうとしていて、その為に何が必要なんだろうと考えた時にふと浮かんだのが、あの人と展示をするということだった。その矢先に誘われた。今しかないなと思った。

 

(坂下) その時はこういった形のものになるとは思ってもなかったけど

 

まだいきてる

 

まだいきてます

 

どうしてこんなにだいじなひとといっしょにいられないんだろう

 

そんなはなしをしたいわけじゃないよ

 

なにしてたんだろう。

 

しんでいいならしにたかったよ。そういうことしてたよ。なにに必死なのかを誰も理解しないところにいた。なにしてたんですか。なんのために?

 

なにもはなしたくなかった。

 

なにもいいません。

 

いい展示でしょ。

 

ありがとうございました。

 

もうこのままなにもつくれなくなりたい

 

作品じゃないよあんなのは。やっぱりそういうんじゃない。目の前のひとのためにだけ身につけた技術や感覚を使うこと。勉強してきたことですらすべて還元してしまって、もうなにもない。ぜんぶこういうことだったんだ、すべては理にかなっている。なんでっていって答えられなくても、その確信の意味はある

 

理由を言えなくても信じてくれるし信じられる。そういうことはやってたら納得する。コップは絶対ふたつじゃないといけないんだよ。

 

 

 

 

2014.10.27

 

うみ落とされるかたちに寄り添うこと

 

わたしたちはいきていて更新しつづけているのだということを伝えなければならない相手がいた。それでもたいせつなことはこのことなのだと言いたかった。彼らはわたしたちの絵を買ってくれました。最初のお客さんだ。

 

今日からはじまる人生のためにこのことを果たしたのです。

 

花嫁の気持ちと死人の気持ちを想像しながら展示をつくっていました。これは結婚式でも葬式でもないけど

 

そのどちらかになりたかったのかもね

 

作家として同じ土俵に立てることが一番の幸福であることをはじめから理解しています。美術のはじまりからおそらくは終わりまで。

 

唯一の人

 

 

 

 

2014.11.27

 

ある存在を失くすことを私はずっとためらってきたのだけれど、いま目の前にいるひとのことをみつめるためにイメージと決別しました。

 

 

 

 

2014.11.28

 

過去の感覚を辿るようなはじめかたをしたけど、いままさにうまれつつある存在が確かにあって、そしてこの先にもあるのだということを理解した展示だったので、たぶん前向きに捉えていい。

 

この先もつづいていくのだということを知った。終わり、そしてようやくはじまったということなのかもしれない。

 

一度失くしかけた感覚をほんとうに大事だったと確かめて、大事にするって約束したのかもしれない。新しい仕組みは必要だけど、もうきっとなくさない気がする。

 

 

 

 

 2014.12.06

 

まだじぶんの身体がはんぶんくらい他人でできてるかんじがある

 

 

 

 

 2014.12.13

 

ゆるされるならずっとあのことをしていたいとまだ思う

 

もしかしたらほんとうにもう、発揮できなくなってしまった鋭さがあるかもしれない。いちばん重要な感覚が常に自分の中に生きていればそれでいい。

 

 

 


 2014.12.28

 

どうしてそんなに特別なのかいつまで経ってもよくわからない。だけどあまりにすばらしくて、つたわってくる感覚がうつくしくて、かなしいしさみしい

 

このひとのまなざしがだれよりうつくしいです。どうでもいいしがらみから感覚を開放し、あそばせてくれる人

 

孤独であること、ひとりで境界線を飛び越えてどこかとおくへいくこと、あちら側へいって帰ってこないでいること、を、望んでこれまでやってきた。こんなにさみしがりながらひとりに帰ろうとしたことがない。温度のあるかたちを求めていて、どんなにあたたかかったかということばかり思い出すんだよ

 

 

 

 

                                                                                                                        

 

  Text by Ai MIEDA